ジャックアールの拠点

ジャックアールの拠点

どうもみなさんこんにちは!このブログは僕が自作小説の投稿をメインに行っていく所になります(.-_-.)

1-#4 土とともに(いざ「ポペラヒルク」へ 1 )

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#3 はこちら

「私に掴まるのだ」

 そう言われ、恐る恐る彼に掴まった。まだ彼の素性は計り知れない部分が多いし、また急に変なことを言い出すかもしれない。まぁ、今は彼に従うほかないのだが…

 そんなことを考えていると突然、身体がゆっくりと宙に浮き始めた。足は地面についたままの感覚なのだが、明らかに浮いている。宙に浮く感覚が苦手な僕は不安な気持ちになったが、足がついている感覚があるのでなんとか平気そうだ。
 そして、僕たちの身体はゆっくりと前へ進みだした。足を動かすこともなく身体が移動している…もうこの世界は何でもありだ。

「昔、「世界がこうであったら良いな」とか考えながら作ったあの小説と世界観が似ているな…」

 …僕はふと思い出していた。僕は高校生の頃、小説を書くことにはまっていた。あの頃は想像力が一番あった時期だと思う。思いついたことをなんでも小説の題材としていたのだ。
 そんなあの頃、僕はすでに「彼女」…「相田 若菜(あいだ わかな)」のことが好きだった。彼女への気持ちを伝えたいが伝えられず、悶々とする日々。そんな気持ちをどこかで発散したくて、僕はそれもまた小説の題材としていた。

「現実の世界で生きることが辛くなった主人公が異世界へ飛ばされ、そこで自分の新たな可能性を見つけていく話」

 …ありきたりな内容だが、当時の自分には一番現状とマッチする内容だった。一心不乱に小説を書き、ひたすら彼女への気持ちを抑え込んでいたのだ。物語の中で主人公は、ハッピーエンドを迎える。自分には決して訪れることのないだろうハッピーエンドを。
 そんなものを書いている内に就活の時期へと入っていき、恋愛をする暇などなくなった僕は結局、気持ちを伝えることもないまま就職していったのだ。

 僕はハッと思った。今のこの現状は、当時書いていたあの小説の始まりの部分と似ている気がする…だが、当時書いていた小説の内容などとっくに忘れている。今すぐにでも確認したいが、原本は実家のタンスの中に眠っているのだ。確認のしようがない。
 とても考え難いが、これはその小説の通りに事が進んでいるのかもしれない。

 この先どうなるかなんて当然、覚えていないので把握することは難しいが。だが、最後がハッピーエンドであることは覚えている。その通りにいくのであれば、僕はハッピーエンドで全てを終えられる。
 それならば、この先何がきても大丈夫ではないだろうか。まあ、僕のこの仮説がどこまで合っているかはわからないが、少なくともこの先の自分のメンタルにはプラスに作用はずだ。

 身体が宙に浮いた僕は、心も少し軽くなっていた。そう考えている間に、身体はかなりの速度で移動していた。ジェットコースターとまではいかないが自分が走るより速い。

 やがて、光が差し込む穴が見えてきた。どうやら出口のようだ。今の速度を維持しながらその穴は大きくなっていった。辺り一面が明るくなり、身体が光に包まれる。眩しすぎてしばらく目が開けなかった。数十秒ほどで目が慣れてきて、ぼんやりとしていた視界が徐々にはっきりしてきた。

 そして、はっきりと見えるようになった僕の目に映り込んできたのは、「緑色をした海」と「巨大な大陸が2つある」という予想だにしない光景だった。

 

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