ジャックアールの拠点

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どうもみなさんこんにちは!このブログは僕が自作小説の投稿をメインに行っていく所になります(.-_-.)

1-#15 土とともに(「科学災害」の説明)

#14 はこちら

「今から200年前、この世界の中心にあったある大陸で「ある大災害」が起こっタ。「土界史」史上最も大きな人工的災害ダ。のちに「科学災害」と呼ばれるこの出来事は、この世界で人間が起こした最初で最後の出来事でもあル。
 この災害によって亡くなった人数は推定250万人。この大陸で暮らしていた住民だけでなく、観光・出張などで来ていた人も含まれル。生存者はこの200年で一人も確認されていなイ。」

 2、250万...?とても考えられない...話を聞くだけでもぞっとする。しかも、この「科学災害」によって環境が変動し、結果暮らせる土地が減ってしまったとも彼は言っていた。つまり、この災害による被害者の数は二次被害を受けた人数も含めるともっと多いのではないだろうか。

 それともう一つ気になることがある...「この世界の中心にあったある大陸」と彼は言ったが、今まで受けたどの説明の中にもそんな話は出てきていない。

「「大臣」、「この世界の中心にあったある大陸」とは一体何ですか?これまでの説明の中で、そのような大陸の話は聞いていないのですが...」

「ハッ...!ごめんごめん、すっかり忘れていたヨ。今日は説明することが多くてどこか抜けてしまうみたイ。」

「そうだったんですね。大丈夫ですよ。ここまで多くの内容を説明してもらいましたから、そうなってしまっても無理ないです。」

「うぅ、ありがとウ。じゃあ先にその説明をしようカ。この「世界の中心にあったある大陸」とは現在立ち入りが禁止されている「島大陸」、「ヲワロの島」というところダ。この大陸は今までの大陸と比べ、面積が半分ほどしかなイ。だから「大陸」ではなく「島大陸」という部類に入るんダ。」

「なるほど。」

「この大陸は他の大陸よりも技術や都市の発展が著しかったんダ。住居用の建物は全て20階以上の高さがあったし、主な移動手段も「電動車」という「電気」の力を使った乗り物だっタ。」

「どうしてそんな技術力が?」

「うン...それはね、様々な要因があるんダ。でも、その中で特に大きな要因となったのは、当時「エオリ大陸」の西側で「ある鉱石」が発見されたこト。」

「ある鉱石?」

「うん、その「ある鉱石」は後に「特殊鉱石」という分類に分けられタ。」

「と、特殊鉱石?それは一体?」

「うン。「特殊鉱石」というのは、「特定の大陸でしか採取できない特殊な性質を持った鉱石」のことを指すんダ。現在確認されているのは4種類、

 

「メタロ科学鉱石 (めたろ かがくこうせき)」

「ポシウム発酵石 (ぽしうむ はっこうせき)」

「マグ岩石 (まぐ がんせき)」

「シルク金緑微石 (しるく こんりょくびせき)」

 

 ダ。」

 またなにやらすごいものがでてきた...すごく気になる名前のものたちだが、詳細を聞くべきか否か...

「まぁ、そうなるのも無理ないネ。この本を見てもらった方が分かりやすいからあとで見てみテ。」

 そう言いながら、彼は本棚にあった本を取り出し机の上へと置いた。本の題名は「特殊鉱石の性質」、表紙には「遂に判明!?メタロ科学鉱石の効果一覧」と書いてあった。「空の世界」でいうところの情報雑誌のようなものだろうか。

「この本に、現状把握されているすべての「特殊鉱石」の効果が載ってるかラ。」

「わ、分かりました...」

「うン。で、この時はその中の一つ「シルク金緑微石」が発見されタ。この鉱石は「超強力な電力を発生させる」という性質があったんダ。
 だけど、発見当時は「電気」なんていうものを知る「土界人」は一人もいなかっタ。試行錯誤を重ね、彼らは「電気」の概念を理解しタ。そしてその概念を応用した「機械」を発明しタ。さきほど言った「電動車」もこれに含まれル。」

「なるほど...そんな便利なもの、他の大陸では使われなかったのですか?」

「そうだネ...「機械」以外にも「電気」を使用した多くの技術が発明されたんダ。一部のものは今でも使用されていル。たとえば、この「街」の灯りは電力によるものだし、食べ物や飲み物を保管するための「冷蔵庫」、室内の温度を管理する「室内空調機」なんかもあル。」

 街灯、冷蔵庫、室内空調機...この辺りは「空の世界」と同じように存在しているようだ。

「だけど、これらはほんの一部。その他ほとんどの技術は再び「大災害」を引き起こすと危険視され、使用法・運用法が抹消されタ。」

「それは..さっきの「電動車」とかですか?」

「うん、そうだネ。ほかにもあったけど、それは今話しても仕方ないから言わないネ。」

「分かりました。」

「まぁそういったことがあって「ヲワロの島」は著しい発展を遂げたんダ。だけど、この発展はあまりにも急激すぎタ。「電気」の概念を理解したといってもそれは一部の人間に過ぎず、大半の人間には扱えなかったんダ。
 この「一部の人間にしか扱えない」ということが、「科学災害」が起きてしまった原因の一つだと考えられているんダ。」

 「考えられている」?「科学災害」の発生原因はまだわかっていない、ということなのだろうか。しかも、この言い方だと他にも原因があるようだ。

「そう、この出来事については不明な点が多いんダ。あまりに突発的かつ甚大な被害だったから、僕たちは原因を突き止める時間がなかっタ。各大陸と住民たちを守ることで精いっぱいだったんダ。それに、当時は僕たち「神」の在り方が今とは違っタ。」

「在り方が今とは違った?それはどういうことですか?」

「それを説明するにはまた別の説明をしなければならないんだよネ...少し休憩しなイ?ちょっと疲れてきたヨ...」

 確かに、ここまでかなり早いペースで説明をしてもらった。それは僕が「この世界のことを早く理解したい」という思いもあってそうしてきてもらったわけだが、それでもこの世界のことを全て知れるわけではない。
 このペースで説明を聞いていったとしても、いずれ脳が処理出来なくなるだろう。そんな無理をするよりは、彼の言う通り一度休憩を挟んだ方がいいのだろう。

「分かりました。ここまでの説明、ありがとうございます。」

「どういたしましテ。とりあえず今日はこの辺りにしよウ、もう時間も遅いシ。」

「えっ、今何時なんですか?」

「えっと、ほらあそこに時計があるでしョ?今は23:40だネ。」

 彼の指さす先には、「空の世界」と何ら変わりないアナログの時計が時刻を示していた。

「あれっ、僕たちがここに到着したのって何時ごろでしたっけ?」

「えぇーっと、確か19:30くらいだったかナ...」

 なんということだ...それが本当ならもう4時間も話していたことになる...この世界に来てから色々あったとはいえ、ここに到着してからの時間の経ち方は特別早く感じた。

 そういえば、この世界に来てからまだ何も食べていない...今までは気が張りつめていて気づかなかったが、急にお腹が空いてきた。

「とりあえず、今夜君が泊まる宿は確保してあるから今から向かおウ。夕飯はそこに着いてから出してもらえるかラ。」

「なんかすいません...」

「いやいいんだヨ。君はまたすぐに謝るネ。とりあえず荷物を持っテ!」

「は、はい。」

 彼にそういわれ、僕は荷物を持った。そして今夜泊まる宿へと向かうため「総合舎」を出た。街灯が灯る深夜の「ポペラヒルク」を僕たちは歩き出したのだった。

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